「学歴なんか、社会では何の役にも立たない」
そんな言葉を耳にすることもあると思いますが、そう論じる本人自身はたいてい高学歴だったりします。
高学歴ならば成功者になれるわけではないですし、成功者が皆高学歴であるというわけではありませんが、
こと大部分の人にとって、学歴と生涯稼ぐ所得というのは、統計上は強い正の相関があります。
要するに、高学歴ほど人生の稼ぎは大きいわけです。学歴別に生涯賃金を比較すると、それは明らかです。
厚労省の賃金構造基本統計調査の「退職金を含めない学歴別生涯賃金比較」によれば、大企業に就職した大卒男性の生涯賃金は約3億1000万円。
対して、大企業に入った高卒は2億6000万円で、同じ規模の会社に入っても、大卒と高卒とでは生涯賃金に5000万円の差がつきます。
さらに、小さい企業に入った高卒の場合は、生涯賃金は1億8000万円に下がるので、
大卒大企業就職組と比較すると、ほぼ倍近い1億3000万円もの差が開いてしまいます。女性においても、この傾向は一緒です。
こうみると、将来の所得を考えるならば、勉強が嫌いと言っている場合ではなく、
なんとか大学へ進学すべく努力したほうがいい、と言ってしまいそうですが、問題は本人の努力以前にあります。
そんな残酷な現実のお話をします。
■私大の授業料はどんどん高くなっている
文部科学省の学校基本調査(確定値)によれば、2020年度の4年制大学進学率は54.1%に達し、(短大も入れると58.5%)過去最高を記録しました。
が、その一方で、進学した学生の親の負担が増え続けています。国立大学の授業料はともかく、私立大学の授業料の上昇率は、
大卒の子を持つ親世代(45~54歳)の父親の平均給料の伸びよりはるかに高いものになっています。
(中略)
都道府県別の大学進学率とその年齢の子を持つ40~50代が世帯主の世帯所得中央値(2017年就業構造基本調査)をみると、
0.7という強い正の相関もあります。親の所得が子の大学進学率に直結している何よりの証拠です。
■子どもの将来は生まれる前から決まっている
このように、子の大学進学は、試験の成績だけではなく、親の経済力がないとそもそも無理なのです。親の経済力によっては進学そのものをあきらめる子もいるでしょうが、
どうしても進学したい若者は、奨学金を借りて進学することになります。その先には、よりつらい現実が待っています。
運よく大企業に就職できた学生はまだしも、給料の安い会社にしか就職できなかった場合には、その中から自分の生活費と奨学金の返済というダブルの支払いを課せられることになるからです。
本人の学歴によって将来の所得格差が生まれるという局所に目がいきがちですが、
問題の本質は、生まれた両親の所得状況によって子どもの将来は決定づけられているという厳しい現実です。
もっと、有り体にいってしまうと、「どんなに努力しても貧乏な家の子は貧乏だし、裕福な家の子は裕福になる」ということです。
良い大学に行ける子は親が裕福だから行けるのです。本人の学力や努力だけの問題ではありません。
どんなに優秀で医学部に行きたいと子が願っても、貧乏な親ではその学費を払うことは不可能です。つまり、遺伝子のように貧乏も裕福も遺伝する、とも言えるわけです。
■さらに残酷な「親が貧乏なほど結婚しづらい」現実
今まで述べた通り、学歴は生涯賃金に直結します。そればかりではありません。親が貧乏なら結婚すらできないのです。
男性の30~40代、女性の50代に関しては、親が貧乏である人の未婚率が明らかに抜きんでて高い。
(以下略、全文はソースにて)
https://news.yahoo.co.jp/articles/c4f8b3161b8f2dece47932810bc3e207bd8e232d?page=1
【図表】大学授業料と親の年収推移