会社員にとって管理職への昇進は、おめでたいことのように思われがちだ。しかし、それが遠隔地への転勤をともなうもので、なおかつ給料が下がるとしたらどうだろう。
4月上旬。都内にある甲社で本社営業課に勤務するA宮さん(仮名=以下同、男性、32歳で営業主任・総合職)はB村営業課長(男性、40歳でA宮さんの上司。以下「B村課長」)から打診を受けた。
「A宮君、6月から福岡営業所の課長をやってもらいたいんだ」
「えっ?残業や休日出勤は仕方がないと思いますが、その分残業代はもらえますか?」
「主任と違って課長は管理職ですから残業代は出ません」
「もしこの話を断ったらどうなりますか?週末はアマチュアバンドで活動しているので都内を離れたくないですし、もし福岡に行くのであれば、仕事内容に合うように給料を上げてほしいです」
「給料は就業規則で決まっているのでA宮君だけ特別扱いはできない」
「それではこの話はお断りします。主任として今まで通り東京でがんばります」
「もういい! この話は無しだ。そのかわり君は業務命令に背いたわけだから懲戒処分の対象だ。処分内容は後で伝えるから。わかった?」
A宮さんは黙って席を立ち、一礼するとその場を立ち去った。
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