植田総裁は足元の物価高は輸入物価の転嫁による「第1の力」と、賃金と物価の好循環の「第2の力」の二つがあると説明。前者によるインフレ率は下がるとの見通しを示したが、「上方修正を続けてきた」とし、「見通しの誤りがあったということは認めざるを得ない」と述べた。
一方で、後者がまだ弱いという判断は「あまり大きく外していない。その部分に基づいて金融政策運営を行ってきたことについては、大きな誤りはなかった」と強調。輸入物価に押し上げられたインフレは「早晩勢いが衰えてくる」と述べ、「第2の力を育てていくために金融緩和を維持している」と語った。
日銀は今年4月に消費者物価の上昇率が今年度半ばにかけてプラス幅を縮小するとの見通しを示したが、2%目標を上回る高水準が1年半にわたり続いている。7月と10月に見通しを上方修正し、予想の甘さを指摘する声も出ていた。植田総裁はこの日の答弁で、批判を一部容認しながらも、賃金上昇を伴う持続的・安定的な2%上昇はまだ実現できていないとし、現行の金融政策の正当性を主張した形だ。
日銀は10月31日の金融政策決定会合で、長期金利の上限の1%超えを容認するイールドカーブコントロール(YCC)の柔軟化措置を決めた。経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、2023年度から25年度までの消費者物価の見通しを全て引き上げた。
金融市場が予想する先行きの物価上昇率を示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、14年以来の高水準を更新している。10年債利回りから10年物価連動債利回りを引いたBEIは決定会合後の6日に一時1.4%と14年月4以来の水準に上昇した。
日銀の物価目標2%を下回るレベルだが、
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