そこで今回は、関東地方で十数店舗展開する大手チェーンの営業統括部長のA氏に、パチンコの現状と未来についてお話を伺ってみた。パチンコ店が再び活気に満ち溢れる為には何が必要なのか。
立て続けにヒット機種が登場しているスマスロに対し、イマイチ盛り上がりに欠けている感が否めないスマパチ。どちらも、機能や出玉性能面では進化しているのだが、この違いはなんだろうか。
「スマパチに限らずパチンコは甘くしづらいんですよね。甘くすると見た目でわかるから打ち子軍団に占拠されておしまい(笑)。毎日来てくれる常連さんに還元できないなら甘くする意味がないし……。もちろん、お店のメイン機種となっている『エヴァ』や『リゼロ』はそれなりに遊べるようにしていますが、それ以外は基本的に辛く使っているので勝てません。勝てないから機種の魅力も伝わらない。だから人気機種にならないという流れですね」
パチンコ店はお客さんに『明日も打ちに来られるくらいの小さな負け』を繰り返してもらう薄利多売営業をするのが理想だが、今のパチンコでそれを実現させるのは難しいとA氏は語る。
「パチスロは中間設定を使えば薄利営業もできますが、パチンコでそれと同じくらいの調整にすると、やっぱり見た目でわかるからプロに狙われ、技術介入を使って抜かれちゃう。お店としてトータルで赤字にするわけにはいかないので、メイン機種以外は甘くできないのが現状ですね」
パチプロや打ち子軍団の存在により、手放しで甘く使うのが難しいパチンコだが、実は利益率はパチスロよりも高く、しかもここ数年でさらに上がっているそうだ。
「ホールデータのひとつに、1時間あたりの利益率、『時粗(じあら)』というものがあるんですが、一昔前のパチンコは1台600円前後だったんです。それが今は1400円になっています。もちろん、昔と比べて営業形態や機種が荒くなっているという点もありますが、それにしても上がり過ぎですよね。もはや薄利多売営業とは真逆の状態です」
パチンコの利益率が2倍近くになっているのならホールは潤っているハズ。それなのに、なぜ閉店ラッシュが止まらないのだろう。
「パチンコの利益が上がっていても、それ以上に機械代が上がっているんですよ。昔は一台20万円くらいだったのが今は60万円ですよ。甘デジのリユースだって、昔は10万円だったのが30万円。利益が2倍になったとはいえ機械代が3倍になっているから、そりゃ資金力のないホールは閉店しますよ」
仕入れるモノの値段が上がったら販売価格も上がるのが商売の基本。だが、パチンコ店ではこれが通用しないのである。
「パチンコ店は機械代が上がったからといって貸玉料金を上げることができません。上限は4円と法律で決まっているので。時代と共にモノの値段は上下するのに、パチンコの貸玉料金は46年前から一切変わっていない。これもおかしな話じゃないですか。本当に今の時代に合っているのか疑問に思う時もあります」
初心者にはハードルが高すぎる遊び
業界全体が活気を取り戻すには、新規ファンの獲得が必要不可欠。だが、昔と違い今のパチンコは初心者が手軽に始められる遊びではなくなっているとA氏は言う。
「今のパチンコは、初心者が始めやすい入門機的な機種がないですよね。自分がパチンコを始めた時代は、羽根モノがメインで500円、1000円で十分遊べました。そこからハマっていってデジパチ、権利モノ、一発台を打つ立派なヘビーユーザーへと成長したわけですが(笑)、今は最低でも3万円くらいは持って行かないと遊べない。初心者にとって『3万円の遊び』って相当ハードルが高くないですか? きっと、ホテルに泊まってご飯を食べるのと同じくらいの感覚じゃないですかね」
インフレが進めば手軽な遊びになる!?
時代と共にじわじわと射幸性が高まっていき、過去最高峰のギャンブル性に達しているともいわれるパチンコ。遊びやすい1パチという営業形態もあるが、機種自体は4パチと同じなのでレートの違いはあれど、どちらも荒い勝負をしているのは変わらない。(抜粋)
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