「うちは、本当にごく普通の家庭だったと思います。でも、娘がホストクラブに足を踏み入れてから、家族がバラバラに壊れてしまったんです」
こう話すのは、関東近郊に住む主婦(50代)だ。現在20歳の娘がホストクラブ通いにハマってしまった。
’23年4月、娘が高校時代の友人に会うために東京へ遊びに行ったことが始まりだった。帰宅した娘が、玄関に置いたカバンを片付けようとしたときのこと。
「カバンから、ホストの名刺が何枚もバラバラと落ちてきて……。不安になって“この名刺は何?”と聞いたら、娘は“ちょっと遊びに行っただけだよ”と。ただ、もう大学生だし、そんなものかと深くは詮索しなかったんです」(母親、以下同)
「6月に、娘が受けた性病の検査結果の紙を見つけたんです。何でこんな検査をしたのか心配で“恋人がいるの?”などと聞いたのですが、詳しいことは教えてくれませんでした。娘は、その話をした数日後から風俗店で働き始めていたんです。男性客の特徴などを記した娘のメモを見つけて判明しました」
当時19歳だった娘が、なぜカラダを売る必要があるのか。問いただすと、娘の口から出てきたのは、
「ホストクラブに行くため」という言葉だった。
これが8月のこと。父親は、母親を叱責したという。
「夫は“おまえの育て方が悪かったんだ。何をやっていたんだ”と私を責めました。自分でも、その現実を受け止められなかったんだと思います」
年1回は家族旅行に出かける仲だった家族は、少しずつ壊れ始めた。
再び開かれた家族会議で、娘には目の前で風俗店に「辞めます」という連絡をさせた。ホストクラブで1回に使う金額は1万~17万円ほど。幸いなことに、多額の売掛金などはなかった。しかし……、
「風俗は辞めても、ホスト通いは続けていたんです。“大学の飲み会があるから”と言って出かけるのですが、たびたび朝帰りをする。ある朝、娘から“文化祭の打ち上げで駅前のカラオケにいるから迎えにきて”と連絡があり夫が行くと、娘は改札口から出てきたそうです。歌舞伎町で、朝まで遊んでいたのだと思いました」
何かあってからでは遅い。そう思って問い詰めても、
「友達と飲んでいた」と言い張るが、具体的な友人の名前は出てこない。
「なので、こっそり娘がつけている携帯のお小遣い帳をのぞいたら、やはりホストクラブに行っていました。でも、娘には何も言わないでいます。反発するだけなので、今は見守るしかありません」
一緒にスーパーへ行けば、母親を気遣って食料品がドッサリ入ったバッグを率先して持ってくれた娘はもういない。親子の会話もなくなった。
「大学の成績もガタ落ちして……。以前は明るい子だったのですが、今は家に帰ってくると無言でホストに関した動画を延々と見ています」
人が変わっただけでなく、異常な行動もあったという。違法な薬物の使用も頭をよぎった。実際、ホストクラブで働く男が、覚醒剤などを所持した疑いで逮捕されているが自分が使うためだけに薬物を所持しているとは限らない。
「そうしたことが重なって、夫は精神を病んで入院することになりました。それなのに、娘は夫が入院したその日にも、ホストクラブへ行っていました。もうホストのことしか考えられないのだと思います。あるときは飲酒運転をして帰ってきたこともあったんです。ウチは交通事故で子どもを1人亡くしていて、そのときは娘もとても悲しんで、みんなでいっぱい泣いたのに……。善悪の区別もつかなくなってしまったのかな……」
現在も娘はひそかにホストクラブへ通い続けている。
悪質なホストクラブによる被害者やその家族を支援する「青少年を守る父母の連絡協議会」代表の玄秀盛氏は、
「今のホストクラブは、本来の接客業から逸脱し、女性のことを金としか思っていない。この子なら数千万円は稼げるなと、商品として見ている」(抜粋)
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