金融庁がコインチェックを除く交換業者に求めた安全管理体制の報告では、顧客資産管理などで問題が見つかった。麻生太郎金融担当相は16日の会見で、今回の検査について「報告の分析を踏まえた」と話しており、みなし業者を念入りに調べ管理体制の強化につなげたい考えだ。
みなし業者は登録業者の審査の最中だが、金融庁はここでも締め付けを強める構えだ。一定期間を経ても安全管理体制が不十分なままの場合、登録を拒否して営業させない方向で検討。自主的に申請を取り下げさせることも視野に入れる。
今回の問題ではコインチェックのずさんな管理状況が判明した。流出した「NEM(ネム)」の保管で、ネットワークから隔離された「コールドウォレット」を採用せず、送金に複数の秘密鍵を求めるセキュリティー技術の「マルチシグ」も導入していなかった。
こうした中、コインチェックと同じみなし業者とされている交換業者は、安全対策の強化を急いでいる。ある業者は「マルチシグ化を進める」としているほか、別の業者は「利用者の利便性を低下させることなく、安全性について最大限対策をする」と強調する。
とはいえ安全管理体制をすぐに拡充するのは困難を伴う。コインチェックの和田晃一良社長は、安全対策が「人材不足もあり間に合わなかった」と説明。人手不足は業界全体の課題で、安全性を強化するのに必要な高いレベルの技術者を確保しにくい可能性が高い。
これだけの問題が起きた業界への金融庁の不信感は根強い。中途半端な安全対策は認められないのが必至で、審査に落ちて廃業する業者が出る可能性もある。(中村智隆)
2018.2.17 06:14
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