関係者によると、日本政府は暗号資産に対して比較的柔軟な姿勢を示しており、登録が認められれば、取り扱う仮想通貨の種類が多いバイナンスは国内で利用者数を大幅に獲得することができるとみている。
バイナンスの広報担当者はブルームバーグの取材に対し、「規制当局とのやりとりについてコメントするのは不適切」とした上で、「規制当局や政策立案者と協力し、消費者を保護し、イノベーションを進め、業界を前進させることに尽力している」と述べた。金融庁の担当者はコメントを控えた。
岸田文雄首相が掲げる「新しい資本主義」の実現に向けた実行計画では、暗号資産やブロックチェーン技術を活用する「Web3(ウェブ3)」推進を目指すと明記。5月の英国ロンドンの金融街シティーでの講演では、成長戦略の柱として環境整備を進めると表明した。
金融庁は2023年度の税制改正要望で、ブロックチェーン技術を活用した起業や事業開発の阻害要因になっていた企業保有の暗号資産に対する課税方法の見直しを提案していた。
日本の動きは、いわゆる「仮想通貨の冬」で昨年11月以降、デジタル通貨から2兆ドル(約287兆円)の市場価値が失われたのを背景に、各国で規制や監督強化が見られることとは対照的だ。
バイナンスに対しては、金融庁が18年にインターネットを通じて無登録で日本居住者向けにサービスを提供しているとして警告。趙長鵬最高経営責任者(CEO)は、当時目指していた日本国内での拠点設置を断念していた。
20年にはバイナンス側が日本居住者の取引に段階的に制限を加えると発表していたものの、取引可能な状態が続いており、21年6月には2度目の警告が行われていた。
現在、バイナンスはアジア太平洋地域ではオーストラリア、マレーシア、フィリピンで暗号資産の交換業者として登録されている。一方、中国やインドネシア、タイ、ベトナムでは事業者として承認されていない。
バイナンスを巡っては、米国で司法省、証券取引委員会(SEC)、商品先物取引委員会(CFTC)をはじめとした金融規制当局による調査の対象となっている。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-26/RINK91T0G1L101
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