日銀は決定会合で賛成多数で政策金利の据え置きを決めた。田村直樹委員は0.5%への利上げの議案を提出したが、反対多数で否決された。
決定会合では、利上げ局面にある中で今回は現状維持とすべきとの意見が複数出された。ある委員は、国内における税制・財政を巡る議論の行方や米国の新政権の政策スタンスに「大きな不確実性がある」と指摘。リスクマネジメントの観点から「今回は金融政策は現状維持とすることが適切だ」と述べた。
経済状況の進展がオントラック(軌道に乗っている)で推移すれば、政策金利の調整タイミングは「目標達成時点から逆算した利上げペース配分とそれぞれの時点での上下リスク状況という2つの要因に依存する」とした上で「今回は現状維持が適当だ」との意見もあった。
輸入物価は落ち着き、円キャリーが積み上がる状況でもないとして「物価のアップサイドリスクについては、現状では利上げの切迫した理由にはなっていない」との声も出された。
<早期利上げに前向きな意見も>
決定会合では、早期の利上げに前向きな意見も見られた。ある委員は経済と物価が3月時点の見通しからオントラックだと指摘し、海外経済を巡る不確実性も変わりなくあるが「金融緩和の度合いを調整することができる状況だ」と述べた。経済・物価が見通しに沿って推移する中、「物価上振れリスクが膨らんでいる」として、フォワードルッキングに、適時・段階的に金融緩和の度合いを調整していくことが「物価の安定を通じて、国民経済の健全な発展に資する」との意見もあった。
円安進行などに伴う輸入物価の上昇が基調的な物価の一段の底上げや物価目標の実現につながるだけに「前もって金融緩和度合いの調整を行うことも必要だ」との指摘も見られた。
半面で、多くの中小企業の稼ぐ力の改善には力強さが欠ける状況下、「経済改善の進捗をデータで確認する必要があるため、当面は現状の金融政策を維持することが適当だ」との意見もあった。
<来年の春闘、「しっかりとした賃上げ」に期待感>
植田和男総裁は決定会合後の会見で、利上げのための注目ポイントとして来年の春季労使交渉(春闘)の動向と米国の次期政権の経済政策運営を挙げた。
決定会合では春闘について「2%の物価上昇と整合的な、しっかりとした賃上げが期待できる」との声が見られた半面で、多くの中小企業では人手確保のための「防衛的賃上げ」が行われ、設備投資との両立が難しく「その従業員は賃上げの持続性に漠たる不安を抱えている」との指摘も出された。
米国経済については「8月に比べれば焦点が下方リスクから上方リスクにシフトしている」との指摘が出されたほか、新政権の財政政策などの下支えも期待され「ソフトランディングより早期の再加速も想定され得る」との意見もあった。
決定会合では、日銀の財務健全性についての意見も出された。ある委員は「現実的なスケジュールでの利上げによる日銀財務の影響は限定的だ」と述べ、財務健全性が保たれることを示す必要があるとした。
□金融政策決定会合における主な意見 2024年 : 日本銀行 Bank of Japan
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2024/index.htm
12月18、19日開催分 [PDF 204KB]
https://www.boj.or.jp/mopo/mpmsche_minu/opinion_2024/opi241219.pdf
2024年12月27日午前 11:04
ロイター
https://jp.reuters.com/opinion/forex-forum/6HLZHHASU5KPJEJF3EZKPREVYA-2024-12-27/
ざっくり一言でいうと利上げ期待後退。
その後加藤財務相の口先介入で一時的に円高の動き。
こちらは午前中に発表されたものなので、直近の相場にはそこまで影響はないお。