毎日新聞 2021/12/11 09:00(最終更新 12/11 09:00) 有料記事 2894文字
中国政府がビットコインなど暗号資産(仮想通貨)の徹底排除に乗り出している。9月に仮想通貨関連サービスの全面禁止方針を打ち出した後も、新たな取り締まり策を次々と公表するなど、その徹底ぶりは世界でも類を見ない厳格さだ。中国政府はなぜ、ここまでこだわるのか。背景を探ると、金融・通貨政策にとどまらない中国独特の「お家事情」も見えてきた。
「国有機関の関わる『採掘(マイニング)』活動を厳しく調べる」「マイニング参加者への懲罰的な手法の導入も検討する」――。中国の経済運営の司令塔である国家発展改革委員会の孟魏報道官は11月中旬の記者会見で、仮想通貨に関わる新たな取り締まりに意欲を示した。
そもそも「マイニングとは何なのか」の説明の前に、仮想通貨に対する中国政府の姿勢を確認しておきたい。
日米欧の主要国が、仮想通貨にまつわる投機的な売買や、将来は日本円や米ドルといった国家が発行する法定通貨をしのぐ存在になる事態を警戒しつつも、投資家保護や資金洗浄(マネーロンダリング)対策を急いでいるのは、金融資産のひとつとして、その可能性を認めているからだ。
これに対し、中国は2017年、国内の仮想通貨取引所を閉鎖させ、仮想通貨の国内普及に待ったをかけた。それに続き、今年9月には中国人民銀行(中央銀行)が仮想通貨の「全面禁止」に踏み込む通知を出した。
通知は、仮想通貨が「法定通貨と同等の法的地位を有していない」として国家の保護対象ではないことを明示。こうした警告を発した上で、▽仮想通貨の金融派生商品の取引禁止▽関連取引のための情報提供サービスの禁止▽人民元との交換の禁止▽海外の取引所のサービス利用禁止――などを打ち出した。発改委によるマイニング規制もこうした全面禁止策の一環だ。
マイニング規制の裏にある電力・環境問題
マイニングは、仮想通貨の発行や流通に重要な役割を…
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