大阪や京都府で市中感染が確認され、いよいよ日本でも広がりが加速することを覚悟しなければならなくなった。
一方で、忘年会で飲食店はどこもいっぱいで、これから年末にかけて帰省や旅行を考えている人も多い。
ワクチンの効果も薄れ始めている中、私たちは今、オミクロンにどう向き合えばいいのだろう。
BuzzFeed Japan Medicalは、京都大学大学院医学研究科教授の理論疫学者、西浦博さんにオミクロンを専門家はどう見ているのか、聞いた。
ーー久しぶりですが、西浦先生がメディアに出る時は危機が迫っている時だという印象があります。
2回の予防接種が高い接種率で完了して効いている状態で、しばらく平和だったからですね。
この間も予防接種がどれほど効いているのかなどの評価は公表していたのですが、緊急に伝えなくてはならないことはありませんでした。
これまで科学的分析によって得られたデータを基に、リスク評価をできるだけ易しく伝える努力を重ねてきました。
しかし、僕が表で話すと、競馬の予想屋かのように政治家や社会科学の言論で言われがちです。
「政治的イデオロギーを持っている」とさえ言われことがありますが、それは絶対にありません。
ただ新型コロナから皆さんの命が守られるように、リスクについて分析結果をお伝えしているのです。
ーーオミクロンも出てきて、市中感染も複数の場所で確認されました。
ずっと新規感染者数も少なかったので、楽観視している人も多いと思います。専門家からはどう見えますか?
僕が見る限り、みなさんはニュースを見た上でも、年末年始のイベントや移動の予定を変えようとしていない印象があります。
研究室のメンバーや近しい人は年末年始の計画が大きく揺さぶられているのですが、医療関係者でさえあまり重く受け止めていない人もいます。
例えば、伝え聞く看護師の話ですが、3回目接種のチャンスが回ってきた時に「悩んでいる」と言うそうです。
ブースター接種をするとオミクロン感染時の重症化や死亡のリスクは抑えられることがわかっていて、2回接種だけだと心許ないのに、その認識がない。
おそらく、これからオミクロンが制御困難なスピードで拡大し得るということも、広く認識されていないのだと思います。
現在、専門家から見えている景色と国民の皆さんが感じていることの間に、あまりにも大きなギャップがあるように思います。
諸外国の認識と比べると、日本は相当遅れていると実感し、問題意識を持っています。
皆さん、帰省を予定されている。年末年始に久々に会えなかった人に会う。飲み会も計画している。
ワクチン接種が終わってデルタ株の流行が落ち着いたと思われているかもしれませんが、それと正反対の景色がいま僕たちには見えています。
WHOのテドロス事務局長は、「年末年始のイベントについて、場合によっては取りやめも検討したほうが良い」と勇気をもって呼びかけています。
日本の専門家が持っている警戒感はそれと同じくらいです。しかし、国民はそれとは真逆の感覚でいるでしょう。
日本ではまだ一部で市中感染が確認された程度で、流行の実感がありません。
ワクチン接種でデルタ株に対する集団免疫ができたことを体感したので、迫りくる未来のリスクを肌で感じていないし、緩和策をおそるおそる進めている最中です。
そこで私に見えているリスクについて解説させていただきたい。意図的に不安を「煽っている」かのように言われそうですが、
そうではなく、適切な危機意識を持てるようになってほしいのです。
https://www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanaga/omicron-nishiura-1
引用元:https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1640324399/