格差の拡大を改善するには、BI導入が不可欠なのか?
――格差の拡大や貧困の増大を改善する手段として、ですか。
BIつまり「政府がすべての人に、必要最低限の生活が保障される額のおカネを無条件に支給する」制度の導入が早晩必要になると予測している。
──日本で導入するとすれば1人月額7万円給付が妥当なのですか。
国民全員に最低限の生活が送れるだけのおカネを配るとなれば、今なら7万円が妥当と思っている。会社を辞めない額で、同時に最低限の生活の助けになるぎりぎりを考えると、7万円かなと。3人家族だったら、7万円×3人の21万円。4人家族だったら28万円もらえる。厳密な根拠があるわけではないが、たとえば合計30万円、40万円になると仕事を辞める可能性も強まるし、逆に家族全体で1ケタ万円ではさすがに生活は厳しい。
──生活保護制度とのかかわりは。
現行の生活保護制度で実際に給付を受けている人は「有資格者」の2割ぐらいとみられる。もらえるはずの人をこのままほうっておくのか。残りの8割の人にもきちんと給付するとすれば、経費を含めて財源をどう増やすのか。そこまでやっても取りこぼしはかなり出る。いっそ国民全員に給付したほうがいいから、生活保護よりもBIは優れていると見ている。
──労働意欲との兼ね合いは。
今の生活保護はある程度おカネを稼ぐと、給付額が減らされる。労働に対するインセンティブがあまりない。BIだったら、税金は多少払うが、7万円はもらえて基本的に全額が自分の所得になる。別途働けば働くほど稼ぎが増えていく。むしろ労働意欲がそがれることのない制度といっていい。これまでの先進国での実験は5万円から10万円の給付だが、気持ちに余裕ができ、むしろ労働供給量が増える可能性さえある。
財源の確保はメドが立つものなのか
──財源は?
その確保は確かに大変で、所得税だけで調達するなら、税率を一気に25ポイント上げないといけない。今所得税の最高税率が45%なので、足すと70%まで行ってしまう。ほかに財源を考えるとすれば、1つには相続税を30ポイントアップするのはどうか。最高税率が今の55%から85%に高まる。ただ、その税率を適用するような金持ち一族は、残り15%の財産でも娘・息子たちが遊んで暮らせる人たちなのでは。もちろん反発はものすごくあるだろうし、説得は大変で、大きな壁がある。