仮想通貨の大手取引所、「コインチェック」から580億円相当の仮想通貨が流出した問題で金融庁は、顧客の補償に充てる資金が十分にあるのかなど、財務内容を早急に調べる必要があるとして、2日、立ち入り検査に入りました。仮想通貨の取引所に対する立ち入り検査は初めてで、週明け以降も続けられるということです。
東京・渋谷区にある「コインチェック」の本社には2日午前8時前、金融庁の検査官10人が訪れ、立ち入り検査に入りました。
「コインチェック」では先月26日、外部からの不正なアクセスで580億円相当の「NEM」と呼ばれる仮想通貨が流出し、会社は、460億円に上るとされる顧客への補償を自己資金で賄うとしています。
金融庁は、立ち入り検査を通じて補償に充てる資金が十分にあるか確認することにしていて、その際、「コインチェック」が会社の資金と顧客から預かった資金とをきちんと分けて管理しているかどうかいわゆる「分別管理」の実態など会社の財務内容を詳しく調べます。
また、セキュリティー対策や顧客への対応状況などについても確認します。
金融庁は「コインチェック」に対し、先月29日に業務改善命令を出し、今月13日までに対応策を提出するよう求めていただけに、今回、報告を待たずに立ち入り検査を行う異例の措置をとった形です。
2日の立ち入り検査は夕方まで行われ、週明け以降も続けられるということです。
金融庁が仮想通貨の取引所に対し、資金決済法に基づく立ち入り検査を行うのは初めてで、業務改善命令の履行状況を厳しく監視することで顧客の保護に万全を期したいとしています。
■コインチェック「真摯(しんし)に対応する」
金融庁の立ち入り検査を受けたことについて、「コインチェック」の広報担当者は、NHKの取材に対し、「真摯に対応して参ります」としています。
そのうえで、被害を受けた顧客への補償について、「返金できる時期のめどは立っていないが、自己資金で補償できるという考えに変わりはない」として、総額で460億円に上ると見られる補償は改めて、会社の資金でまかなえるとしました。
ただ、会社の資金と顧客から預かった資金とをきちんと分けて管理する「分別管理」が適正に行われているかどうかについては、「事実確認をしているところで、確かなことがわかってからお伝えする」と答えるにとどまりました。
■麻生副総理・金融相「資産保全を確実にするため」
麻生副総理兼金融担当大臣は2日の閣議のあと、記者団に対し、不正なアクセスを受け580億円相当の「NEM」と呼ばれる仮想通貨が流出したコインチェックに、金融庁が立ち入り検査に入ったことを明らかにしました。
この中で、麻生副総理兼金融担当大臣は「先月26日にみなし仮想通貨交換業者のコインチェック社が管理する仮想通貨が、不正アクセスにより外部に流出するという事故が起きた。本日、会社に対して、資金決済法に基づいて立ち入り検査に着手している」と述べました。
そのうえで、業務改善命令に対する会社側からの報告を前に立ち入り検査に入ったことについては、「利用者の資産の保全を確実にするという観点からだ」と述べました。
一方、麻生金融担当大臣はコインチェック社以外のすべての取引所に要請していたセキュリティー対策などの自己点検について、金融庁として実態把握を徹底するため、新たに資金決済法に基づいて報告を求める命令を出したことを明らかにしました。
2月2日 18時05分
NHK NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180202/k10011312571000.html