ブロックチェーンは、複数のノード(参加者)がデータの記録と共有を行い、データの保証や改ざん防止を行う技術だが、記録速度や参加ノード数の拡張性に課題があった。
例えば、ビットコインのブロックチェーンは毎秒7件の書き込みが性能限界とされているほか、ビジネス用途を想定した参加者限定型のブロックチェーンでも、数十ノードを超えると性能が極端に悪化するという。また、全ノードが全記録を見ることができるため、個人情報や企業秘密を記録するには問題があった。
同社は、最近の汎用プロセッサが備える「TEE」(メモリ空間の一部を特定のプログラムからしか読み書きできない領域として保護する機能)のセキュリティ機能を活用し、参加ノードが合意形成するために必要な通信量・通信回数を削減する。これにより、200ノード程度の大規模環境下で、毎秒10万件以上の記録性能を実現したという。
さらに、取引情報の公開ノードを限定できる仕組みを開発。特定グループ内の取引情報はグループに属するノードにのみ公開する――などの制御を可能にした。
また、IoTデバイスがブロックチェーンのデータを参照する際にも、各参加ノードのTEEを活用することで、IoTデバイスでも高速な検証を可能にしたという。
新技術により、記録性能やノード数の制約によってブロックチェーンの適用を断念していたケースにも対応が可能になるほか、取引情報のセキュリティ・プライバシーが保証でき、個人情報や企業秘密にあたる取引も扱えるとしている。
同社は、現在取り組んでいる金融機関との実証実験を進めるとともに、金融以外への応用も視野に入れ、研究開発を進める。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1802/15/news113.html