【MD】2月で生産終了 カセットテープは生き残ったのに、なぜ「MD」は消えてしまったのか?

1: 2025/02/18(火) 21:13:30.81
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https://news.allabout.co.jp/articles/o/90041/

ソニーが2025年2月をもってMD(ミニディスク)の全モデルを生産終了すると発表しました。

生産終了になって悲しい、というより「まだ売ってたんだ」と思った人も多いでしょう。MDそのものを知らない令和キッズもいるかもしれません。

平成を象徴する記録メディア、MD。その一方で昭和を象徴するメディアであるカセットテープはいまだに生き残り、年配層だけでなく若年層にも受け入れられて静かなブームになっています。

カセットよりも薄くて軽くて音もいいのに、なぜMDは消えてしまったのでしょうか。誕生から今日までの歴史を振り返ります。

実は、MDの産みの親はほかでもないソニー。カセットテープの国内売上が1988年をピークに下降する状況で、CDと同じ光ディスクを使った次世代の記録メディアとして開発されたのがMDです。

CDのように高音質で、瞬時に頭出しが可能。カセットのようにカートリッジで保護されていて、ほこりや振動にも強く、「ミニディスク」と名乗るだけあってCDやカセットより小型で持ち運びも便利でした。

1992年11月に録音・再生機と録音用MDを発売すると一躍人気となり、1995年には業界全体のハードウェア国内販売台数が100万台に到達。

2001年には世界市場全体で対応機器が5600万台、メディアが10億枚を突破。登場からわずか10年足らずで記憶メディアの定番になりました。

■終わりの始まりはAppleの「goodbye MD」
しかし、2000年代に入るとそのMDの時代を終わらせる機器が登場しました。iPodをはじめとするデジタルオーディオプレーヤーです。

2001年10月、初代iPodが発表された際のキャッチコピーは「ポケットに1000曲」。パソコンで手軽にダウンロードして、MDの何十倍もの楽曲を持ち歩くことができるようになりました。

さらに2004年には「Hello, iPod. Goodbye, MD」と銘打ったキャンペーンを展開。追い込まれたMDの生産量は徐々に減っていき、2013年にはソニーが全てのMDプレーヤーの出荷を終了。

2020年に最後のMD機器メーカーだったティアック社が、部品を調達できず販売終了し、今回、2025年2月にソニーが録音用MDの生産を終了しました。

SNSでは「まだ現役で使ってる」といった投稿も見受けられましたが、流通する記録メディアとしては過去のものになってしまったと言ってもいいでしょう。

■カセットテープは残ったのになぜMDは消えたのか?
とはいえ、MDよりも古いカセットテープは生き残っています。なぜMDだけが消えてしまったのか、それにはさまざまな理由が挙げられます。

1つ目は、カセットのような「アナログの良さ」がないこと。音質の悪さが「味があって温かみを感じる」、スキップができないもどかしさが「飛ばさずにじっくり聞ける」と再評価されている現在、MDにその良さはありません。それを改良するために作られたのに、今さら“それが良かった”なんて……!

2つ目は、CDのようにミュージシャンがリリースする「再生専用MD」が定着しなかったこと。MD登場以降、ソニー・ミュージックエンタテインメント所属のアーティストを中心に新譜がMDでも発売され、2001年までに1000タイトル以上がリリースされました。

しかし、MDは録音する際に音源を圧縮するので、音質はCDの方が上。また「CD→MD」に比べて「MD→MD」は手軽にダビングができません。あくまで「次世代のカセット」として開発されたMDは、CDの代わりになれませんでした。

前述の通り、MDにはカセットのような「アナログの良さ」はありませんが、ダウンロードやストリーミングにはない「モノの良さ」はあります。現在、新譜をカセットでリリースするアーティストたちの選択肢にMDが残っていたら、令和のMDファンを獲得するチャンスだったはずですが、それも難しいでしょう。

そして3つ目は、世界で流通しなかったこと。MDのマーケットはほぼ日本のみで、海外ではヨーロッパの一部で使われていた程度でした。カセットのように世界的に流通していれば、海外のインフルエンサーが「今こそMDがエモい!」とリバイバルに火をつける、なんて未来もあったのかもしれません。

カセットに逆転され、CDになりきれず、日本だけで終わったMD。とても残念ですが、これからは骨董品として愛でるしかないようです。青春をありがとう、MD……! 現役で使っている人は、プレミアが付く前に予備を買っておくといいかもしれませんね。


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