日本は2016年に改正資金決済法(いわゆる仮想通貨法)を成立させ、世界から注目を浴びて
いたはずだった。それなのに、本来なら全力で業界の健全育成と発展を図るはずの業界団体が
ボトルネックとなり、日本の暗号資産市場は停滞を余儀なくされている。
暗号資産の新規上場案件(ICOやIEO)や海外で取引されているトークンの国内審査など
を司る一般社団法人・日本暗号資産取引業協会(JVCEA)の審査が一向に進まず、昨年の
10月末時点で、審査案件が82件も滞留していることが分かったのだ。その実態を浮き彫り
にする社団法人の議事録も独自に入手した。
JVCEAは、業界大手のコインチェック社長の蓮尾聡氏が会長を務め、選任された各事業者
の代表や外部識者が理事に就く自主規制団体である。国内法に準拠して交換業を行ったり
新たな暗号資産をリリースするには、JVCEAの審査をパスする必要があるが、その審査が
著しく遅れている。このままでは国内の暗号資産マーケットの成長を阻害し、投資家の
機会損失につながるおそれさえある。
滞留している審査の内訳は、昨年10月末時点で、日本初の新規案件が30件、世界で既に
流通している既存通貨の審査が36件、新興取引所の入会審査が9件、そのほかの新規上場案件が2件。
金融庁の暗号資産交換業者に登録する取引所は、現在30社あるが、世界的に信用力のある
暗号資産の分析会社CoinGeckoの時価総額ランキングのトップ10位のうち、日本の交換業者
で取引できないコインは4銘柄あり、トップ20位に枠を広げれば、半数以上の11銘柄に
上っている(※取引所が独自にリリースするコインは除く・2月15日現在)。
JVCEAが公表する会員の「暗号資産取り扱い状況」によれば、国内の取り扱い暗号資産は44。
その内、取扱い数が最も多いのはGMOコインで19銘柄、次いでコインチェックが17銘柄
となっている。これに対して、世界展開しているコインベースは5銘柄にとどまっている
(2月17日現在)。コインベースは米資本であり、グローバルマーケットでは150銘柄を
超える暗号資産を取り扱っている取引所だ。
国内で取引できるコインの少なさに不満を持つ投資家や取引所は、少なくないのだ。
▼理事会議事録に示された金融庁の怒りの中身
国内の取引所で扱われない暗号資産について投資家は海外の取引所を利用するしかなく
暗号資産取引について定められた日本の法令(資金決済法)の保護が受けられない。
こうした事態に、金融庁がJVCEAに対し「大変厳しい指摘」をしていたことも、今回、明らかとなった。
SlowNewsが入手した、JVCEAの「理事会議事録」にはその様子が記されている。
議事録によれば、2021年11月4日に開かれた金融庁とJVCEA理事らの懇談会で、金融庁幹部
から審査案件の82件の滞留の問題に加えて、上場審査プロセスとマネーロンダリング対策で
あるトラベルルールの策定に懸念が示された。
その要因を、金融庁はJVCEAの理事や事務局、また会員の事業者との間にコミュニケーション
不足が生じ、規制団体を運営するにあたって、ガバナンス不良が生じていると認識している模様だ。
実際、JVCEAの会員企業の幹部は怒り心頭に発している。
「すでに世界中で取引され、日本の取引所でも取り扱いのあるビットコインやイーサリアム
などの著名コインも、新規業者が取り扱うためには一からJVCEAの審査を受ける必要があった。
ひとつのコインの審査に半年から1年もかかる例もある。これでは新規に日本市場に参入する
国内外の事業者は、すでに多くのコインを取り扱う事業者にまったく対抗できない」
「審査プロセスが開示されていないことも問題だ。まったくのブラックボックスでJVCEAが
審査をしている現状は、一部の事業者に有利な取り計らいがあっても、我々にはわからない。
公平で公正な取引のためには、ディスクローズ(情報公開)が不可欠だが、いまのところ改まっていない」
(抜粋)
https://slownews.com/stories/jdg3X4khrnc/episodes/W7uT9aXB-Mk#31860eb
引用元:https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1645879018/